コロニアル屋根(薄型化粧スレート瓦)とは?

コロニアルは、軽量で施工性が良い・地震に強い・建物の構造コストも抑えられる…といった理由で都市部の建売り分譲住宅で多く採用されています。
また、カラーやグレード・デザイン・遮熱機能などの種類も豊富にある屋根材です。

目次

コロニアル屋根とは薄型スレート瓦のこと

戸建て住宅の屋根材として多く利用されている「薄型化粧スレート瓦」は「コロニアル」と言う屋根材の商品名で呼ばれる事の方が多く、当サイトでも分かりやすさを重視して「コロニアル」と呼ぶことにしています。

薄型化粧スレート瓦」は、セメントと強化繊維を主原料とした厚み5mm程度の板状の屋根材の一般名称です。

コロニアル」は、旧クボタ(現:ケイミュー)が発売した薄型化粧スレートの商品名です。
建築業界あるあるですが、薄型化粧スレート瓦と言うのが呼びにくく覚えにくいので、広く使われていた商品名の「コロニアル」が広まったのだと思います。

カラーベストとは?

旧クボタでは薄型化粧スレート瓦の商品が複数あり、そのシリーズ名が【カラーベスト】でした。

その【カラーベスト】シリーズにいくつもある屋根材の中で、一番有名で使われていたのが「コロニアル」という商品だったのです。

なので、昭和50~60年頃の私の記憶では、大工さんによって「コロニアル」と呼ぶ人と「カラーベスト」と呼ぶ人がそれぞれいました。

現在は旧クボタと旧松下電工が合併してケイミューという会社となり、事業を継承しています。
商品の構成は従来と同様で、複数ある屋根材シリーズの中に【カラーベスト】シリーズがあり、今でも「コロニアル〇〇」という商品名で「コロニアル」の名前が引き継がれています。

ケイミューの過去の屋根材について知りたい場合は下記のページが参考になります。

石綿に関する見解書|TOP|外壁材・屋根材・雨といのケイミュー

法規制を受ける屋根材

(年)は製造期間、[%]は石綿含有率

クボタ松下電工(現 パナソニック)
[カラーベスト(900シリーズ)]
コロニアル(S36~S61)[10~25%]
カラーベスト・スレート(S48~S51)[20~25%]
ウエスタンシェーク(S48~S51)[20~25%]
ニューコロニアル(S54~H13)[10~15%]
かわら27(S50~S63)[15~20%]
F-800(S50~S52)[10~25%]
ランバート(S63~H6)[10~15%]
ニューランバート(H7~H13)[10~15%]
ミュータス(S63~H6)[10~15%]
ニューミュータス(H7~H13)[10~15%]
セイバリー(H8~H13)[10%]
スペリアル(H8~H13)[10%]
アスコット(H6~H13)[10~15%]
グリシェイド(H8~H13)[10~15%]
ザルフ(H9~H13.11)[0.1~1%]

[カラーベスト(600シリーズ)]
アーバニー(S57~H6)[S57~H1:10~15%、H2~H6:5~10%]
ルネッサⅠ(H1~H13.11)[0.1~1%]
ジュネスⅠ(H3~H6)[5~10%]
ジュネスⅡ(H3~H6)[5~10%]
ルネッサⅡ(H4~H13.11)[0.1~1%]
ニューアーバニー(H6~H13.11)[0.1~1%]
ニュージュネス(H6~H13.11)[0.1~1%]
エボルバ(H6~H13.11)[0.1~1%]
グレイスノート(H6~H13.11)[0.1~1%]
アーバンウェーブ(H9~H13.11)[0.1~1%]

[同質役物]
ハイリッジ(S53~S63)[10~15%]
軒先同質役物(S63~H13)[15%]
[フルベスト(900シリーズ)]
フルベスト16(S46~S53)[10~15%]
フルベスト20(S63~H15)[S63~H4:10~15%、H5~9:5~10%、H10~H15:5%以下]
フルベスト・リード(H6~H12)[H6~H8:5~10%、H9~H12:5%以下]
フルベスト・リードDX(H8~H12)[H8:5~10%、H9~H12:5%以下]
フルベスト・リードⅡ(H7~H14)[H7~H8:5~10%、H9~H14:5%以下]
フルベスト・リードストライプ(H7~H14)[H7~H8:5~10%、H9~H14:5%以下]
アレナ・ウーノ(H11~H14)[5%以下]
アレナ・トレス(H11~H14)[5%以下]

[フルベスト(600シリーズ)]
フルベスト24-05(S53~S57)[10~15%]
フルベスト24-10(S53~S62)[10~15%]
フルベストエース(S54~S62)[10~15%]
フルベスト24-10エース(S56~S62)[5~10%]
ニューフルベスト24(S62~H11)[S62~H5:10~15%、H6~H11:5~10%]
ニューフルベスト24エース(S62~H6)[S62~H5:10~15%、H6:5~10%]
ツインアート(S61~H3)[10~15%]
フルベストリード24(H9~H11)[10~15%]
エバンナ(H1~H15)[H1~H4:10~15%、H5~H10:5~10%、H11~H15:5%以下]
アルデージュ(H1~H15)[H1~H4:10~15%、H5~H10:5~10%、H11~H15:5%以下]
アルデージュ・シンプル(H4~H15)[H4:10~15%、H5~H10:5~10%、H11~H15:5%以下]

[フルセラム]
玄晶Ⅰ(S61~H13)[S61~H3:10~15%、H4:5~10%、H5~H13:5%以下]
玄晶Ⅱ(S61~H13)[S61~H3:10~15%、H4:5~10%、H5~H13:5%以下]
ヒシ(S61~H13)[S61~H3:10~15%、H4:5~10%、H5~H13:5%以下]
うろこ(S61~H13)[S61~H3:10~15%、H4:5~10%、H5~H13:5%以下]

[波形スレート]
ニューウェーブ(S58~H15)[10~15%]
ニューウェーブⅡ(H6~H15)[5~10%]

[ワンダシリーズ]ワンダ・ストーン(H13~H14.10)[0.1~1%]
[ニューウェーブ用同質役物](S58~H15)面戸瓦、急勾配用棟瓦、片流れ用棟瓦[10~15%]
[ニューウェーブⅡ用同質役物](H6~H15)和風用面戸瓦、半瓦[5~10%]
洋風用面戸瓦、半瓦、片流れ用棟瓦[5~10%]

法規制を受けない屋根材

(年・月)は製造期間

クボタ松下電工(現 パナソニック)
[カラーベスト(900シリーズ)]コロニアルNEO(H13.4~)
セイバリーNEO(H13.12~)
セイバリーグランデ(H15~)
スペリアルNEO(H13.12~)
スペリアルグランデ(H13.12~)
ミュータスNEO(H13.12~H17.3)
ザルフグラッサ(H13.12~H17.3)
ニューザルフグラッサ(H16~)
グリシェイドグラッサ(H16~)
プラウドグラッサ(H16~)
レイシャスグラッサ(H16~)
グリシェイドNEO(H13.9~)
ザルフ(H13.12~H18.10)
[カラーベスト(600シリーズ)]アーバニーグラッサ(H13.12~H17.11)
グレイスノートグラッサ(H13.12~H17.11)
[天然スレート]マイルストーン(S63~H15)
[コンクリート瓦]洋瓦(S57~S58)
パラマウント(S59~H9)
ニューパラマウント(H10~H12)
パラシェイク(H1~H9)
ニューパラシェイク(H10~H12)
パラフィールド(H10~H12)
[粘土瓦]テラシード(H1~H16)
テラシード・フラット(H10~H16)
[ピュアベスト(900シリーズ)]レサス(H11~H18.9)
レサス・ウーノ(レサスDX)(H13~H18.9)
レサス・トレス(H15.3~H16.3)
レサスTX(H14~H15.6)
エコ・シンプル(H15~H18.9)
エコ・ウーノ(レサスECO18)(H14~H18.9)
シルバス(H13~H15.10)
シルバスウーノ(H14~H15.10)
シンフォニー(H12~H18.9)
シンフォニーグランデ(シンフォニーDX)(H14~H18.9)
[ワンダシリーズ]ワンダセラ(H10~H13)
ワンダ・ストーン(H14.11~H18.9)
ワンダ・ストーンⅡ(H15~H18.8)
ワンダ・ナチュレ(H15~H18.8)
ワンダ・ロイヤル(H15~H17.1)
ストーンⅡグラッサ(H16~H18.8)
[ピュアベスト(600シリーズ)]スカイピュア(H2~H6)
[天然スレート]ザ・イーシー(H4~H9)
[粘土瓦]テラバリエ(H1~H8)
テラバリエ40(H9~H12)
テラユーロ(H13~H16)
[ニューウェーブ、ニューウェーブⅡ用同質役物]上記石綿含有品以外の役物
引用元:外壁材・屋根材・雨といのケイミュー >石綿(アスベスト)に関する見解書

コロニアルの特徴

コロニアルの特徴を、主に「日本瓦」と「トタン屋根」との比較で解説していきます。

コロニアルが戸建て住宅の主流になってから、かなりの年数が経ちます。
にも拘わらっず、いまだに強力な対抗商品が出てこないのには、下記の特徴=メリットを超える屋根材が無いからでしょう。

  • 薄型で軽量
    コロニアルは、従来の瓦に比べて薄く軽量です。
    そのため、建物の負荷を軽減し、施工の容易さを向上させます。
  • 耐久性
    コロニアルはトタン屋根と比較すると、特に錆びなどの劣化に関して強い耐久性があります
    (トタンが進化したガルバリウム鋼板は、同等の耐久性があります)
  • 断熱性
    コロニアルは、金属屋と比較して断熱性に優れています
    適度な断熱性能により、建物内部の温度上昇を軽減し、快適な室内環境を提供します。
  • 美観とデザイン性
    コロニアルは、現代の建物にとって特別美しいとは言えないまでも、許せない事は無い程度の美観を保てます
    また、微妙な形状や色のバリエーションがあるので、デザイン的な自由度があります。
  • 遮熱塗料との相性
    コロニアルは塗装をするのに適した素材のため、遮熱塗料を塗るのに適しています
    金属屋根は太陽光による表面温度の急激な温度変化が生じ、瓦屋根は蓄熱が長く続くのに対し、
    コロニアルは両者の中間的な吸熱と放熱の性能があり、適度な遮熱効果が得られます。
  • 耐火性
    コロニアルは瓦程では無いにせよ、耐火性にも優れています。

薄型化粧スレート瓦の種類

2023年の時点では、薄型化粧スレート瓦のメーカーはケイミューしかありません。

ケイミューの薄型化粧スレート瓦のラインナップを確認してみましょう。

ケイミューの薄型化粧スレート瓦ラインナップ

ケイミューの薄型化粧スレート瓦には下記2つのシリーズがあります。

グランネクスト

長き実績で定評のあるカラーベストの軽さや強さを継承しつつ、住まいの個性がいっそう際立つ意匠性をプラスしたハイグレード屋根材です。

うろこ
ヒシ
サンド
シンプル

カラーベスト

どんな住まいにもマッチするデザインと、日本の屋根に求められる性能を凝縮したロングセラー屋根材です。

プレミアムグラッサ・シリーズ

レイシャスグラッサ
グラッサ600
グラッサ600・シャッフル

グラッサ・シリーズ

コロニアルグラッサ
コロニアルグラッサ オプションカラー
コロニアルグラッサ・シャッフル

遮熱グラッサ・シリーズ

コロニアル遮熱グラッサ

クァッド・シリーズ

コロニアルクァッド

コロニアルの塗替えをする際の注意点

  • メンテナンスの必要性
    コロニアルは耐久性が高いですが、外壁の塗装と同じく定期的なメンテナンスが必要です。
    適度に塗装や点検などを行えば、屋根材の寿命を延ばすことが出来ます。
  • 豊富な経験による状況判断と専門知識が必要
    コロニアルの塗替えには、適切な状態の診断が必要です。
    どんな屋根材にも言えますが、豊富な専門知識があればイレギュラーな状態にも適切な対応への判断ができます。
    この状況判断力を養うには特に教科書のようなものが無いので、経験を積むしかありません。
  • インチキな商材とトークに注意
    屋根全般に言えることですが、とてもインチキな商品やインチキくさい商品が沢山あります。
    それらを儲け商材として上手に売る営業マンも沢山いるので、注意が必要です。
    ポイントを挙げるとすれば、長寿命や半永久的などは無い という事です。

まとめ

コロニアルは薄型化粧スレート板の総称として使われています。
その由来はケイミューの屋根材カラーベストシリーズで最もヒットした商品の名前です。

コロニアルは、その登場以前に主流だった日本瓦屋根やトタン屋根と比較して、その薄さと軽さ・耐久性・経済性により戸建て住宅の屋根として広く選ばれてきました。
令和になった今でも選ばれ続けている理由は、コロニアルを超えるメリットを持つ屋根材が無いからでしょう。

また、近年はコロニアルの塗替えで遮熱塗料を使う需要も増えています。
コロニアルは遮熱塗料を塗るには適切な屋根材でもあり、美観と耐久性・機能性を併せ持つことができます。

コロニアルの注意点は、定期的に適切なメンテナンスが必要な点です。
塗り替え前のコロニアル屋根の状態を正しく見極めないと、雨漏りや塗装の剥がれなどの不具合が起きてしまいます。

コロニアルのメリット・デメリットを理解して、建物の快適な維持管に役立てましょう。

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